2021通常枠 山口県応募団体の公開

■応募団体の公開(山口県)

中国5県休眠預金等活用事業2021の公募にあたり、山口県では以下の2団体からの申請を受け付けました。(受付順に掲載/2022年2月25日公開)

 

NPO法人ほほえみの郷トイトイ(山口県山口市)

事業名:地域の持続可能性を高める地域コミュニティのリ・デザイン事業

 山口市阿東地域では、既に高齢化率が50%を超えており、今後さらに人口減少と高齢化が進むことで、多くの住民が将来の生活に不安を抱いている。これまでも地域の取り組みとして様々な取り組みを実施してきたが、加速する人口減少とコロナウイルス感染拡大の影響により、地域の活力低下が著しく進んでいる。本事業では、阿東地域で暮らす全ての世代が、人口減少や少子高齢化が進む中においても、安心して暮らし続けられるためのコミュニティづくりに取り組むため、2012年より地域主体で運営している地域拠点ほほえみの郷トイトイの施設拡充を行い、地域をリ・デザインするためのラボを開設する。このラボは、子供から高齢者まで気軽に立ち寄ることのできる空間をつくることで、地域住民が抱える不安や課題そして人口減少による地域の変化(商店の閉店や空き家情報等)など現状を把握するための情報を蓄積し調査研究を行うことで、持続可能な地域コミュニティへの取り組みを発信する拠点となる。また、コロナウイルスの影響で都市部での生活や仕事に不安を持つ人々や、地方でのチャレンジを求めて地方移住に関心のある若者などへ情報提供やマッチングを行うことで、人口減少という地域の課題と都市部での生活に不安を抱える方々の課題の解決する取り組みとなると考えている。これらの社会課題の解決にソーシャルビジネスで起業し取り組むことのできる人材の発掘・育成を行い阿東地域への移住及び起業につなげたいと考えている。

『解決する課題』
・人口減少に対応したコミュニティの再構築に取り組む拠点の拡充
・都市部での暮らしや仕事に疑問を持ち人生へのモチベーションを低下させている若者の再生
・コロナウイルス等の影響で仕事や子育て環境が変化し経済的困窮しているひとり親世帯等の生活の立て直し
・農業後継者をはじめ地域の担い手不足
・空き家の活用

『目指すべき姿』
・人口は減少しているが、リ・デザインされた地域コミュニティにより地域住民はお互いを思いやり支えあいの関係性の中で、誰もが安心して地域で生活し続けることができる地域社会
・コロナウイルスの影響等で仕事や子育てなどに不安や悩みを抱え都市部での生活に困窮しているひとり親世帯が、地方での仕事や生活という選択肢を知ることで親子とも安心して生活できること
・都市部での暮らしや仕事に疑問を持ち人生にモチベーションを持てなくなっている若者が、地方での生活や仕事の中で人のやさしさに触れることで、地域の担い手として活躍できること。

『実施する活動』
2012年より地域拠点を核にした地域住民主体の地域づくりに取り組んでいるが、この10年間で人口減少が予想以上のスピードで進んだことと、過去2年コロナウイルスの影響で人が集まることが制限される中、コミュニティの低下が高齢者の認知を早めるなど新たな課題も増えてきている。このような状況の中で、今後の人口減少やウイルス蔓延による新しい生活様式に対応した地域コミュニティのリ・デザインを行うため地域拠点に併設する形でコミュニティラボを設置し、地域の不安やニーズを集約し人口減少に対応した地域の未来を描くための調査研究を実施する。設置に当たっては、現在の地域拠点が老朽化していることから敷地内に独立した形での設置を想定しておりトレーラハウス型の小屋をベースにしたものを予定している。(可動式にした理由は人口分布の変化によって将来地域拠点を動かすこととなっても対応可能であること、また若者や地域へのインパクトを考慮している。)このラボでの機能としては、いつでも気軽に地域住民がおしゃべりに来れるようなカフェのような空間をベースに、スタッフが高齢者の悩み相談にのったり、子供の学習や地域住民の少人数での話し合いなど地域住民のアイデアで様々な形で利用したり、地域内外の若者が気軽に集まりディスカッションできる場を目指したいと考えている。また、これまでの活動により得たノウハウをもとに地域内の情報が一元管理できるようなしくみをつくることで、移住希望者への情報発信や空き家や仕事とのマッチングも実施したいと考えている。さらに、人口減少により後継者不足や市場の縮小など廃業により失われる地域の機能を保つため、ソーシャルビジネスとしての起業スクールを実施し阿東地域の現状を踏まえた若者の起業サポートに取り組むことで、若者の仕事づくりに取り組む予定である。あわせて都市部で生活に困窮しているひとり親家庭の親子が地方での生活を選択肢に入れることで、新たなスタートを切るためのきっかけづくりとして、都市部の親子または子供を夏休み期間等に受入地方での暮らしを体験してもらうことに取り組みたい。現代社会において農山村の持つ昔ながらのコミュニティに触れることで、地方への関心が高まるとともに将来の関係人口の構築につながると考えている。

『出口戦略』
ラボの運営に関しては、将来的に移住した若者の雇用の場として考えており、運営費については事業終了後に採算性が保てるよう組み立てている。また、ソーシャルビジネススクールを受講した若者が地域で起業することで、空き家の活用や地域の機能維持につながるだけでなく、若者の移住により地域が活力を取り戻すことで、地域住民が安心して暮らし続けることのできるコミュニティづくりが実現すると考えている。商品やサービスを提供する側も利用する側もお互いを思いやり成立するビジネスモデルを確立することは、持続可能な地域社会の実現にもつながるのではないだろうか。若者やひとり親家庭など現在都市部で置かれている状況に困窮している人々にとって、優しさあふれる地方のコミュニティに触れることは価値観を変え人生を好転させる可能性を持っている。都市部での生活に疲れ果て生きるモチベーションを失っている人々が、地方での生活で再生し人生を立て直すことで地方で暮らす高齢者の希望になるというストーリーを描くこともできるのではないだろうか。

 

NPO法人ゆや棚田景観保存会(山口県長門市)

事業名:後畑の棚田の再生と持続可能な地域づくり

『解決する課題』
設立から16年、棚田大作戦から3年が経過するが以下の問題から事業の進捗状況や事業の持続可能性など先が見えない状況にある。
(もの)
・耕作者の高齢化と減少により棚田の耕作放棄地が増加し景観が維持できない。
・棚田の広場でのキッチンカー販売は、営業や集客が雨や風や気温などの天候や気候に左右され、営業できない日や期間が発生して収益が不安定である。
・冬季にはハーブや花が少なく集客のための魅力が出せない。
・生産量を増やしたいが圃場にできる棚田が少ない。
・耕作放棄地を再生して圃場にするための道具や機械が少なく作業が効率的にできない。
・収穫したハーブは早急に乾燥などの加工が必要だが乾燥機など機械が不足して廃棄が出る。
・加工場は小学校の廃校校舎を利用しているため改修に制限があり必要な設備が整えられない。
(ひと)
・地域住民の高齢化と過疎化による地域活力の低下。
・持続的に活動できる人材の不足。
・県内外にハーブ生産作業に協力したい人がいるが安い宿泊施設がなく作業依頼が難しい。
・向津具半島は海と山があり自然環境や景観がよくて移住希望者があるのだが、すぐ住める空き家がなく移住の機会を失っている。
(かね)
・事業の資金源が行政による補助金であり用途に自由度がなく金額も少ないため事業強化ができない。
・行政予算で必要な機械の要求が認められても入手は次年度になり生産計画などの進捗が遅れる。
・商品販売による収益が少なく資金源どころか作業に対する報酬を支払うこともできない。

『目指すべき姿』・
棚田景観の維持と耕作放棄地の再生棚田の拡大を行い、棚田の景観と環境を活用した活動を行うことで棚田の魅力を広く発信することで交流人口が増えて活力ある地域になる。
・圃場を増やし製造環境を整備することで生産力と品質を向上して売上を向上する。
・収益の向上により報酬をもらいながら保存活動をおこなえる雇用を創出する。
・景観と環境の魅力を感じて移住したいと思う人を増やし地域の活力を創生する。
・事業的にも精神的にも移住者のよりどころになる場所としての活動が行える。
・棚田景観保存を通じてだれもおき去りにしない地域社会を創造する。
・北浦地域の飲食店や観光施設に対して広くハーブを供給して北浦をハーブで有名なエリアにする。

『実施する活動』
農業倉庫を活用した店舗の設置とキッチンカーの導入。
・生産量増加のため加工製造所を設置し生産設備を整備する。
・支援者や移住者が短期中期的に宿泊できるゲストハウスを整備する。
・棚田の花段を利用したワークショップや体験活動を推進する。

『出口戦略(どのように活動を持続していくか)』
収益力をアップして報酬と雇用を創出する。
・棚田の花段のブランド力と観光地としての認知度を高める。
・景観維持と生産力向上のため耕作放棄地の再生を推進する。
・販売力の向上のためのネット利用と信頼できる販売先を開拓する。
・ハーブを中心とした農産物の生産量と品質向上のための生産体制とノウハウの蓄積。
・支援者や移住者を増やすために宿泊事業を確立。

 

選定に向けて

中国5県休眠預金等活用コンソーシアムでは、応募いただいた団体へのヒアリングを実施し、申請書類およびヒアリング内容をとりまとめ、外部有識者からなる審査委員会へ提出いたします。
審査委員会では申請書類の確認が中心となる事前審査と審査会の2段階で申請案件の審査を行い、各案件の審査結果を中国5県休眠預金等活用コンソーシアム運営委員会に報告いたします。
審査委員会からの報告を踏まえ、運営委員会が内定団体を決定いたします。(2022年4月頃決定予定)