■応募団体の公開(島根県)
中国5県休眠預金等活用事業2021の公募にあたり、島根県では以下の5団体からの申請を受け付けました。(受付順に掲載/2022年2月25日公開)
①NPO法人文化のタネ(島根県大田市)
事業名:IT空間を備えたアートスペース創設による多世代交流事業
【解決すべき課題】
①様々な理由で外出を控えていたり、地域との関わりが希薄で、自己表現をしたり自己実現をする場を得られない人のいること(障がいがある、ひきこもり、若者やUIターン者で社会参画の機会が少ないなど)
⇒そのような立場の人たちに対する無知や無関心、無理解などが根強く、地域の寛容性が向上しない限り、外出や表現の場はどんどん狭まっていく
②大田市には美術館がないだけでなく、wifiスポットや市民が気軽にデジタル機器や作品にふれる機会がないため、多世代交流の場やきっかけが少なく、地域の寛容性向上や他者理解促進の場が乏しいこと
【目指すべき姿】
地域の寛容性が向上し、差別や偏見などを持たれている(と感じている)人が社会に居場所を得て、安心して外出したり、自己表現や自己実現できるようになること
【実施する活動】
1.対話と交流のあるアートスペースをつくる
平成30年の島根県西部地震で被災し廃業した老舗割烹旅館「仁万屋」をアートスペースと交流スペースとして再生させる
⇒対話と交流を生む場所をつくる
2.IT空間の整備
館内にwifi環境を整備してwifiスポットをおくほか、空き室の一つを撮影スタジオ(You tube等)としてリノベーションし、誰でも気軽にITに触れられる居場所をつくる。デジタル技術に詳しい人が入門者に教える教室なども実施する
⇒さまざまな属性や年代の人がITを通して交流する場所をつくる
3.かくれアーティストの祭典@おおだ」の実施
障がいのある人もない人もフラットな立場で作品をつくり、展示し、鑑賞する場をつくる。障がい者の作品だから観に行って支援する、というのではなく、作品そのものの良さを見てもらう仕組み
⇒アートを通して偏見を取り払う 作品を通して共感する場をつくることで、無理解や無関心を取り払う
【出口戦略】
・施設の貸し出しによる収益の確保
⇒撮影スタジオやwifiの使えるミーティングルームは市内唯一の施設となる
・交流スペース(カフェ)の広範囲な活用による収益の確保
⇒日中は大人向けの居場所カフェ、夕方や土日は中高生の居場所カフェとして展開
⇒中高生向けの有償の学習支援サービスの展開
⇒大田市は公民館がなくなるため、寄付付の公民館的な講座などの開催
②三島笑会(島根県出雲市)
事業名:ARで広がる佐田の未来
現在、佐田町に観光スポット、観光コンテンツはいくつかあるが、他の地域と比べると、そんなに違いがない。県や市の協力等で、うまくアピールできている一部施設を除いて、そんなに多く観光客が来ているように感じない。また、佐田町は、他の中山間地域の例にもれず、現在も少子高齢化による人口減少が進んでいる。故に、町内の商業施設、公共施設は、町内在住の利用者が昔と比べて減少しており、町外からの観光や利用を促進しないことには事業として成り立たなくなって来ている。他の地域との差別化を図れる、独創的なARコンテンツを作成し、それを活用して、佐田町に対して、客を呼び込む事で、今まで以上に施設を利用してもらうという目的である。他ではあまり取り組んでいないARコンテンツを導入することで、各メディアに対してアピールしやすくなり、佐田町の知名度のアップが期待される。それにより、観光客の人口が増える。それに伴い、交流人口と関係人口も増加し、これらの人が施設を利用することで、施設利用者も増える。それのために、今回、以下の二つを実施する。
①ARスタンプラリー「さだモン」の拡大
2021年の7月〜9月に、主催:NPO法人スサノオの風、弊社の環境提供という形式で、佐田町内の一部地域を利用してARスタンプラリー「さだモン」という企画を実施した。ARマーカーを佐田内のお店や施設に設置して、それをスマホ等の端末で読み込む。すると、端末に「さだモン」というキャラクターが表示され、クイズを出題するというものである。キャラクターやクイズは主に佐田の小学生が考えたものである。(これにより、学童の発想力や思考力を磨く)前回は、10ヶ所の施設、10体のキャラで実施したが、配置施設の増加、新規キャラクターの募集や作成を行い、このコンテンツを、さらに拡大する。3ヵ年で、キャラ数 約70体までの増加を目指す。
②ARスポーツ「HADO(ハドー)」の導入
そこまでメジャーではないが、現在、世界的に競技者人口が増えつつあり、注目も集まっているARスポーツ「HADO」という競技が存在する。競技者は、専用のARデバイスを身につけプレイするが、プレイするためのARデバイスやコンテンツの利用契約(購入)をして、佐田の屋内運動施設に設置する。このコンテンツを導入することで、単純に競技者同士の対戦だけでなく、シューティングゲームとしても利用可能である。また、佐田町内にて中高生を中心としたHADOのプロチームを結成し、世界中で開催されている大会等への出場により佐田のPRを図る。
各コンテンツはそれぞれに利用料を徴収する。設置後も、利用者数を維持するようにイベント企画、拡張計画を立て、それを実施することで、持続を図る。また、この活動に対して興味を持ってくれた個人や団体に対して、助成や協力をお願いする。
③一般社団法人島根県eスポーツ連合(島根県出雲市)
事業名:島根県eスポーツ教育支援プログラム
【地域格差が呼び込む教育・進路問題】
島根県の小・中学生不登校率は全国ワースト3の常連で、無気力、人間関係、学習障害・発達障がいなど不登校の要因は様々だが、その多くが学力低位層となり課題となっている。それとは別に高校生においては、自信のキャリアにあった就職先や進学先の選択肢が少ない島根県に魅力を感じない者も多く、卒業後は県外へ就職そのまま別の地域に定住するケースが見られ 悲観的に地域を離れる若者も少なくない。
【eスポーツを通じた縦のクロスで、新たな人材創出と定住の可能性】
不登校児の多くは、自宅で引きこもっておりメディアやテレビゲームに依存している。その中でも競技性の高いビデオゲーム「eスポーツ」に傾倒している子供たちが多い。実はeスポーツは高いコミュニケーション力とITリテラシーが要求され、彼ら彼女らは自然とそれを身に付けているか、少なくとも身に付く環境にいる。そして現役高校生にもeスポーツはトレンドとなっており、ほとんどの高校生がeスポーツタイトルを経験しており、いくつかの高校ではeスポーツを部活動として取り組んでいる。この2者は、eスポーツを通じて同じ領域に存在しており、経験豊富な当eスポーツスペシャリストの力でクロスさせ、より得意なことを勉強や社会生活に応用し、島根県を担う人材育成のキッカケを創り出す。
【eスポーツで人と人をつなぐ施策を実施する】
テーマを持ったeスポーツイベントをオンライン・オフラインで実施、個人・企業・学校・学習塾・大学など世代間の分け隔てなく多くの交流をしていただき、地域・学校コーディネーター・ソーシャルワーカーなどの協力を得つつ、タテのつながりで「楽しい時間」を共有する。「学校対抗・企業対抗などの団体戦」「個人戦」「親子で参加」のeスポーツ大会をテーマとし、不登校児や地域の高校生らに価値のある目標を持たせることによって「作戦」「コミュニケーション」「自信」を発揮できる機会を作り出す。
【高校生にはICTを駆使する人材育成を 不登校児には自信を】
eスポーツにも必要なPCリテラシーを身に着け、IT人材創出へのキッカケを創り出す。イベント施工にはeスポーツ部を含む高校生や大学生を動員し地元企業と接点を持たせることによって就職選択のすそ野を広げる。またeスポーツを使った数学・英会話・動画編集・配信スキルの有償教育サービスを高学歴のeスポーツプレーヤーが不登校児童を含む全年齢に向けて展開する。
④ワークアット株式会社(島根県松江市)
事業名:縁結びの場から生まれる『地域や世代を超えた融合による新たなビジネス創出』
地域の人口減少や高齢化により、働き手(特に若者)の県外流出や地域づくりの担い手不足という課題に直面しています。働き手を流出させないための人材育成や、関係人口等の外部人材活用による循環型ビジネスモデルを構築することを目的に、「つながる」「ひろがる」「はじまる」の3つの視点をもって後述する各種活動に取り組みます。
島根県松江市の松江ニューアーバンホテル(浅利観光株式会社) に地域づくりを目指す新たな拠点コワーキングスペース『enun(縁雲)』(以下『enun』)が2022年7月にオープン予定です。『enun』のコンセプトは、「縁がつながって、雲のように自由にあつまり、あたらしいことに出会える場所。いろいろな技能や知識をもった人との出会いを起点に、お互いに情報をシェアし、あたらしい経験を育てている。そんな場所から多様な地域の人が繋がって、コラボレーションや新しいビジネスが生まれるワーキングスペース」です。レンタルオフィス・コワーキングスペース・ライブ配信スタジオなどが整備された『enun』は、地域の学生や社会人、また県外からの旅行者やワーケーション参加者からコミュニティが生まれ、あらゆる世代や地域を越えた新たな出会い(つながる)により、“学びの場所”として更にコミュニティが広がり(ひろがる)、地域に関わる関係人口が融合し、“参加型地域課題解決プロジェクト”により新しいビジネスが生まれる(はじまる)地域づくりを目指します。
ワークアット株式会社(申請事業者:以下当社)はこれらの地域づくりと施設コンセプトを実現するためのコミュニティ運営やプログラム企画運営などの事業化を目指します。
⑤しまね地域の活力応援団エール(島根県松江市)
事業名:就労弱者のためのしごと創出事業
『解決する課題』
・障がい者就労継続支援B型事業所の事業収入が低い
・就労弱者の工賃が低い
・米農家の売上減少、農業従事者の減少
『目指すべき姿』
・障がい者就労継続支援事業所が1年間を通して収益性の高い事業が作れると、利用者の方々の工賃を上げることができ、施設運営の安定化、利用者の生活の質が向上している。
・就労弱者の皆様ができる仕事が増えることで収入が増え社会との接点も保ち、生活が豊かになる。
・農家が、農作物をJAなどへの卸ではなく小売で販売することで売上向上につながる。その結果、地域の田畑を守ることができる。
『実施する活動』
・農家と就労弱者、就労支援事業者による農作物(お米)の直販・宅配事業
『出口戦略(どのように活動を持続していくか)』
農作物(お米)の配送準備から配送までを障がい者就労継続支援施設や就労弱者の皆様に業務委託をおこなう。契約農家から1件当たり500円~1200円の宅配料をいただく。そのうち20%程度を手数料としていただき、登録事業者へ1件当たり400円~800円お支払いする。
◎この事業に参画していただいた障がい者施設は安定した仕事を作ることができ、就労弱者の皆様の工賃が令和2年度比平均10,000円以上向上できる。目標は平均工賃30,000円を目指している。
選定に向けて
中国5県休眠預金等活用コンソーシアムでは、応募いただいた団体へのヒアリングを実施し、申請書類およびヒアリング内容をとりまとめ、外部有識者からなる審査委員会へ提出いたします。
審査委員会では申請書類の確認が中心となる事前審査と審査会の2段階で申請案件の審査を行い、各案件の審査結果を中国5県休眠預金等活用コンソーシアム運営委員会に報告いたします。
審査委員会からの報告を踏まえ、運営委員会が内定団体を決定いたします。(2022年4月頃決定予定)